ご無沙汰しております。
旧知の皆さんが各方面で頑張っておられるので、僕も近年の頑張りを報告しておきます。
社会人になって10年以上経過して営業とはいえさすがにそろそろ勉強しておこうということで、2023年の1月から簿記の勉強を始めました。
■3級編
まずは1日2時間程度、3級から勉強を始めました。これまで社会で生きてきて経済学部出としては恥ずかしながらなんとなくの理解であった借方貸方や資産/負債/純資産から始まり、仕訳の勘定科目を覚え(こんなに少なくて世のすべての取引を網羅できているの?とは未だに思っています)、3級レベルの仕訳はほぼ全部できるようになったので4月頃に累積250h程度の勉強時間で2級の勉強に切り替えました。
この段階では決算手続は理解があやふやでしたが、仕訳はできるのでいずれできるでしょう、と思い次に回す判断をしました。まぁこれでよかったかなと思っています。3級は合格しても意味がないので試験は受けていません。
テキストは初学者ということで理解優先で「スッキリわかる日商簿記3級」だけで行きました。ちょっと浅いですが大体必要なことは書かれているのと、何よりめちゃくちゃわかりやすかったのでオススメです。
■2級編
2級からは新たに工業簿記が加わります。商業簿記同様に仕訳を完璧に処理できるように進めていきましたが借方/貸方のイメージがあまり理解できず(なんで資産である材料が貸方になる場合があるの?とか)、予定額の配賦なども結構苦労した記憶があります。ただ総合原価計算に入り勘定連絡図を覚えたタイミングくらいで納得できたので、6~7割くらい理解したら次に進むくらいが丁度よいのかもしれません。商業簿記の方は仕訳は量が増えただけなのであまり苦労しませんでしたが3級でスルーした決算整理やPL/BSの作成でつまずきました。連結会計とか本店支店会計はおそらく他の人よりは苦労しなかったかな。
テキストは同じシリーズである「スッキリわかる日商簿記2級」の商業簿記/工業簿記の2冊で行きましたが、これはあまり良くなかったかもしれません。6月くらいにテキストが一段落付いたので過去問題集を処理していきましたが知らない仕訳が出たり勘定連絡図の種類がこんなものではなかったりと、使っていたテキストがそこそこ浅いことが発覚。問1や問3の仕訳すら半分程度の正解率で、そもそも試験が難しくて時間内に解き切ることができずちょっと考え甘かったなと思い軌道修正しました。
テキストとして「よくわかる簿記シリーズ」を、トレーニング用の問題集も「よくわかる簿記シリーズ」を商業簿記/工業簿記で2冊ずつ計4冊追加購入して再勉強を始め、しっかり理解できるようになるまで10月くらいまで延々と学習を続けました。
内容に相当詳しくなり過去問もほぼ問題なく制限時間以内に解ける様になったので11月にCBT受験。満点は無理でしたが1問間違い(たぶん問題の読み取りミス)で合格。CBTの方が合格率高いので簡単とか言われていますが僕のときも本店支店と連結会計、CVP分析が出ましたし、そんなことはないと思います。多分受かるレベルになってから受ける人が多いからじゃないかな。
ここまでで累積勉強時間800時間くらいでした。
■1級編
営業が本職ですし2級までで辞めるつもりでしたが2級をほぼ完璧に理解できていたので才能あるかも折角の機会だと思い1級の勉強を始めました。浅はかすぎる。
テキストと問題集は2級合格の実績があるので引き続き「よくわかる簿記シリーズ」。2級は合計(わずか)4冊だったのに1級はテキスト6冊、問題集6冊の合計12冊構成でよくわからなかったです。難解すぎてテキストを理解するための(簡単な)テキストが必要との噂もありましたがまぁ2級ほぼ完璧だし問題ないだろうと思い他には何も買いませんでした。浅はかすぎる。
普通に地獄でした。1級から会計学、原価計算の2科目が加わり合計4科目になりますが、それはまぁ良いとしてテキストが説明不足すぎる。なんでいきなり概念フレームワークとか出て来るの?これどこまで覚えればいいの?おそらく講義を前提に作られているのかと思いますが問題集と比べたりインターネットで検索したりで一つひとつの論点をクリアしていくのは大変でした。あと理論はなんでこんなに覚えにくい日本語なのか。上述した概フレの他に商業簿記・会計学では総記法、売価還元法、税効果会計(2級でやっていたけれども)、オプション取引、積立金方式の圧縮記帳、ファイナンス・リース取引、退職給付会計、企業結合、株式交換、会社分割あたりが特に辛かったです。工業簿記・原価計算は2級で散々やったので比較的楽でしたがそれでも仕損減損全般と原価差異分析の処理、それと企業予算と差額原価収益分析はちょっと悩みましたし何より工業簿記は処理パターン多すぎて定期的に復習しないと理解不足になるので、本番までちゃんと理解したままでいられるかが怖かったですね。
途中で理論ミニ問題集も追加してようやく2024年10月頃から過去問に取り掛かりました。2級終わったのが2023年11月で、そこから11ヶ月経ったということになります。この時点で簿記1級だけで1,200時間、3級からの累積で2,000時間は経過しています。これでも全然時間が足りず、過去問がなかなか合格ラインに乗りません(ボーダーが70点に対して60点前後)。足りない知識(分厚いテキストに※で書かれている内容も覚える必要があるのか?)、間違って覚えていた処理(そんな処理するとはどこにも書いていないけど?特にリース会計さん?)などをアップデートしながら2ヶ月を過ごし1点、2点と点数を上げていく作業を積み重ねましたが、計算ミスや新論点が出たり等で点数はほとんど伸びず本試験の日が来てしまいました。。。
ここまでで簿記1級だけで1,500時間、累積で2,300時間程度の勉強時間でした。これを普通に毎日(土日も)仕事しながらこなしていた僕すごすぎませんかね。簿記1級は500時間で合格できるとか書いているサイトは信じてはいけません。(講座通いの時間を抜いて500時間勉強であればギリギリ合格できると思いますが、独学なら簿記2級満点レベルから最低1,000hは必要だと思います)
■1級受験編
受験当日11月17日(日)はさすがに久方ぶりに休みを取り(当たり前だ)試験会場へ。前の晩も当日の朝も普通に勉強して電車の中でも勉強して会場に着いてからも勉強してと最後まで頑張って乗り込みましたが、すべての論点を完璧に揃えることはできませんでした。電卓の音が気になるかもと思い場末の会場を選んだので受験生は意外に少なく10人程度。電卓の古さから鑑みるに全員おそらく2級までは取得済で1級に向けてそれなりに勉強してきたはずですが、それでも確率的にはこの中から1人しか合格しないとは厳しい試験だなと改めて思いながら試験に臨みました。
試験問題はリンク貼っておきます。
試験は会計学から解きました。商業簿記は沼にハマると僕の悪い癖で永遠に考えてしまい会計学の時間が足りなくなることから、会計学から解いています。第1問の理論から普通に難しかった気がしますが1問は確定で回答でき他も2択までは絞り込んだのでもう1問くらい取れるでしょうということで悩む時間は作りませんでした。結局2問正解2問間違い。会計学の間違いはこの2問だけでした。第2問は企業結合と連結貸借対照表でしたが2級の頃から連結会計はそこそこ得意でしたのであまり問題なく全問正解することができました。持分法→支配獲得時の段階取得差益だけ少し悩みましたが持分法も連結会計時の処理ですし個別会計と連結会計の差を段階取得差益だと考えれば良いと捉えて処理しました。難易度的には第1問は普通、第2問やや簡単でしたので、第2問は途中で土地の売却あるいは土地ではなく建物の評価差が生じているなどの問題でも良かったかもしれませんね。会計学は21/25点(84%)。この時点で残り60分以上余っていました。
商業簿記は個別決算でした。今回も収益認識が出ましたね。
商業簿記は必ず決算整理の指示が意味不明な(日本語がわからない)箇所がありますので、わからない問題は捨てて浮いた時間で他の箇所を完璧に埋める作戦で行きます。過去問ではこの方法を採っていなかったため、その問題は解けたが時間をかけすぎて他の問題でミスしてしまったことや、時間をかけて回答を埋めたが間違っている等が頻発して合格点に達していなかったと自己分析しており、本試験2日前から急遽練習した方式ではありますが会計学もかなり取れている自信があったので10点取れれば良いと思い賭けてみました。捨てる箇所はどうせ3~6箇所くらいなので多くてもマイナス12点で、他の受験生もわからず埋没することを考えると大体マイナス4~6点くらいのダメージで済むのではないでしょうか。それなら他を完璧にしたほうが安全ですね。仮に10点でも会計学と合わせて30/50点(60%)には到達しているので、得意な工業簿記と原価計算でボーダーラインまで巻き返すことは可能です。
今回は1.(1)の処理が意味わからないのでスルー。連動して1.(2)と(3)もスルーしました。見本費は入れましたが。これにより売上、返金負債、売掛金、貸倒引当金が間違い確定になり当期純利益と繰越利益剰余金も間違い確定ですが、後ろ2つはほぼ間違いなく誰も回答できていないので埋没箇所として無関係。上4つが合否に影響で4~6点程度マイナスです。
その他3.備品の処理は前期から改訂償却率0.334を使っていることは理解していましたが前年から処理する方法を知らず間違い。何パターンかで忘備価額になるまで計算してもしっくりこなかったので諦めましたがもうちょっと時間をかけて考えれば正答できたかなと思います。4.の投資有価証券(と自己株式)は時間をかけて正答できました。減損損失後の戻し入れは行わないので期末時価評価するか悩みましたが、減損損失の戻し入れと時価評価は別だろうと思い処理しました。5.の社債は結構簡単に考えていましたが終了前に見直したところ社債利息350が決算整理前残高試算表に記載されているのはおかしいと思い再計算して事なきを得ました。1.を解いていたら時間切れで間違いに気づけていなかったところでした。6.の退職給付債務は過去勤務債務が何気に珍しく出ていた気がしましたが別に処理は変わらないので問題なく対応できました。7.の繰延税金資産は期首の計算が何故かなかなか合わず振替処理ミス等色々考えようかと思いましたが時間足りなくなりそうで他の見直しに費やすことにして諦めました。法人税等調整額だけは回答。8.の法人税も簡単に考えていましたがもっと深い論点だったのか間違っていました。商業簿記の難易度はやや難~難だったかと思います。
商業簿記は15/25点、会計学と合わせて36点/50点(72%)でした。
休憩を15分程度はさみ工業簿記・原価計算になります。休憩中外に出て用意していたチョコレートをたくさん食べ席に戻り少し最後の勉強をして過ごしました。
試験は工業簿記と原価計算の問題をざっと確認して簡単と思われる原価計算から解き始めました。問題1のCVP分析は1次方程式で解ける問題が多いので簡単に解けました。理論だけ深く考えすぎて1箇所間違いでマイナス2点。問題2は何が難しいのかすらわからず、簿記やっていない人でも解けるのでは?と思いながら注文履行数量に合計を書くのか臨時注文分だけ書くのか少し悩んで回答。全問正解。原価計算は23/25点(92%)でした。原価計算の難易度は確実に易です。満点続出じゃないかな。この時点で残り70分以上。
ここまででほぼ合格圏内に達した感触はあったので余裕を持って工業簿記に取り組みましたと言いたいところですが、全然解けなくて焦りました。材料の購入時の仕訳から進めていきましたが原料Aの払い出しを1個忘れていて棚卸減耗損がありそうもない金額になりこれはおかしいと思い修正。修正後仕訳から勘定連絡図に転記しようと思いましたが、補助材料BとCについても対応する必要があるため時間かかりそうと思い合格が見えてきたからか手が震えてきたのもあり気持ちを切り替えるため材料を一旦飛ばして得意な賃金計算から進めることにしました。賃金計算は慎重に休憩時間を除外して直接工の直接時間と間接時間を分けて仕掛品と製造間接費に配賦し、間接工と事務員の賃金は製造間接費に賦課して賃率差異を計算、回答欄に転記して問題なく正答することができました。
その後材料に戻って今度は簡単だと思われる補助材料Cから補助材料B、原料Aの順番に勘定連絡図を埋め、予定配賦と実際原価の差を材料消費価格差異に集約して最終的には仕訳に戻して回答できました。仕訳は手が震えてなかなか漢字が上手に書けませんでした。材料副費の内部副費の集約範囲を1箇所間違えてしまいマイナス1点。またこれにより製造間接費の予算差異も間違えたのでマイナス2点でした。経費は特に注意を要するものではなかったかと思います。
製造間接費の配賦と実際から差異分析を行い(上述の通り予算差異は間違い)、仕掛品にすべての原価を集約して当期製造費用を算出回答しました。工業簿記の難易度はやや易~普通だったかと思います。
工業簿記は22点/25点(88%)で、原価計算との合計は45点/50点(90%)。総合計で81点/100点(81%)となり70%のボーダーを突破、合格となりました。
■試験を終えて
今回の試験は比較的簡単回でしたね。商業簿記は難しかったですが足切りギリギリの10点、会計学は部分点拾いで15点として工業簿記と原価計算しっかり勉強していた人は確実に40点は取れるので65点となりボーダー付近には行けたかと思います。工業簿記・原価計算は近年易化傾向ですが、他資格との差別化のためにももっと難しくても良かったと思いました。折角いろんな問題解いたのに。。。会計学ももう一捻りあっても良さそう。商業簿記は問題を理解できる言葉で書いてほしい。
■今後について
1級持っていても活用できないので寂しいです。
営業が本職ですし1級までで簿記の勉強辞めるつもりでしたが、1級をほぼ完璧に理解できたとは思えないので折角の機会だと思い引き続き簿記の勉強を続けるために次は税理士の簿記論、財務諸表論を頑張ります。
こーゆーところが浅はかなんだよな。