2021年9月5日日曜日

チートを許すな、革命だ、選挙に行け

掲題の件、またぞろチーターが湧いた様なので書きます。


僕は、ゲームは上手く付き合えば自分を成長させてくれるツールになると考えています。

自分の過去のプレイから悪かった部分を発見できる能力と、それを毎日少しずつ改善していける努力は、ゲームの成績を上げる定番セットですが、これと同じ方法でテストの成績も上がりますし、それだけでなく社会に出てから独りで生きていく上で基礎とも言えるスキルでもあります。

FPS等のチームという、全く関係性の無かった人達が集まって作った即席の組織の中で自分の役割を果たし貢献していく、あるいはリーダーとして組織をまとめるという経験は、10代20代のレベルでの現実生活では貴重なもので、かならずその後の自分にプラスになります。経験を得て血肉となった人生哲学は、その人のレベルを一段も二段も上げてくれると思います。

そんな社会貢献とか自身のキャリアなんてどうでもよくて、日々テキトーに、そこそこ楽しく生きていれば満足な人も多いと思います。しかし今はそんな考えでも、いざ自分にとって守るべきものができたときには次の世代に自分が何か残してあげなくてはと思うようになりますし、あるいは老いて静かに死ぬ頃には、一度しか無い人生をもっと真剣に生きていればよかったと後悔します。僕は15年前からネットゲームを始め、これまでプロになって収入を得たり、人気になっていい思いをしたことは全くありませんが、それでもネットゲームで失ったものより、ネットゲームから得たもののほうが圧倒的に多いと断言できます。


ですがチーターはゲームからこの様な利益を全く得られていません。勝つことで一瞬の満足は得られるとは思いますが、もちろんその勝利が本当の自分の能力や努力の証明でないことは知っているので、わずかばかりの承認欲求が満たされるのみです。チームに入ったとしてもチートを使い続けて承認を獲得し続けなければならず、その様な偽りの人格が他人と正当な関係性を築けるとは思えません。言ってみれば犯罪者が犯罪者であることを隠して生活するようなものです。いつ自分の真の姿が露見するのかと自らの影にも怯え、いざそのときに周りの人が自分を非難する夢を見ては怯え、他人が制裁を受けるのを目の当たりにして我が事のように怯える。例えば初心者チームに入ってチヤホヤされると気持ちいいかもしれませんが、自らの実力はそれら初心者と同等以下であるため指導力を発揮できず、かと言ってチーターであると告白するわけにもいかないので表層の関係に終始する日々を送るのみ。あるいは上位のチームに入って高いスキル集団の一員となったことに一旦は満足しても、彼ら/彼女らとは根本的にゲームに対する姿勢が異なるわけですから、いずれベクトルの違いが明確になり破綻するのは目に見えています。

チーターの皆さんには、ゲームから得られる利益というものは、決して他人から与えられるものではないということに気付いてほしいと思います。ネットゲームが今日の様な市民権を得る以前からFPSを真剣にプレイしていた人は既に気付いていることですが、他人から何か言われたり、思われたりすることが嫌で自分の気持ちに嘘を付くことは、決して自分の為にはなりません。他人からの評価ではなく、自分で努力してここまで来たという自負こそが自分を支えるものでありこの世を生き抜く糧になるのです。

これを書くと甘いと思われる人もいるのは重々承知していますが、我々が本来憎むべきはチートツールであって、チーター(チートを使う人)ではないと考えています。たしかにチーターは最大限に譲歩しても人間として未成熟と言わざるを得ませんが、チートはチーターがゲームから学べる機会を意図的に奪っていると考えます。犯罪者も更生すれば社会に復帰して貢献できる様に、チーターもチートを使うのを止めて真摯に努力すれば、ゲームから利益を得られるはずです。我々は更生した元犯罪者を元犯罪者という理由だけで迫害してはならないし、元チーターを元チーターだという理由だけで遠ざけてはならないと考えます。

ただし、チーターが悔悛し更生を志すのであれば、まず謙虚な心で自らの過去の行動を自省し、偽りのない気持ちを告白し、周囲に協力を依頼し、自分の真の実力でもってゲームに取り組まなければならないと思います。その様な姿勢を見せ続けることで、またコミュニティに受け入れられた元チーターも数多くいると思います。これに対して表向き反省したように見せかけつつ実態はチートの使用を否定し、転生し、再びチートを使ってプロになろう、注目を集めようと企画するのは、ありていに言ってチート依存症の状態(病気)であると考えます。

例えばアルコール依存症は否認の病とも言われ、依存症に陥った人間の定番セリフとして「いつでもやめられる(自己を過大評価)」、「大した問題ではない(問題の矮小化)」、「昨日は飲まなかった(例外探し)」、「仕方なく飲んでいる(他責)」、果ては「どうせ自分は変わらない(自己否定)」、「酒が悪い(?)」と言った発言が挙げられます。(?は言い訳にもならない)

これに対してチートを使用したプレイヤーの言い訳についても、「チートなんか使わなくても元々俺は強い(自己を過大評価)」、「チートを使うのは普通のこと(問題の矮小化)」、「確かに以前のゲームでは使ったがこのゲームでは使っていない(例外探し)」、「相手もチートを使っているのに自分だけ否定されるのはおかしい(他責)」、「努力して目立っている他人が許せない、その努力を無駄にしてやりたい(自己否定)」、「兄弟のPCだ(?)」、「中古のPCだ(?)」、「(証拠は無いが)hackされた(?)」、「友達にアカウントを貸した(???)」、とほぼ内容は一致しており、チートも否認の病ではないかと思います。

依存症からの復帰の第一歩は、自らが依存症であることを認めることにあります。依存症であることを否定する人は、あらゆる方法を使い否定しようとしますが、チートを使っているにも関わらず否定して転生し、再度チートを使う人は自分の力だけでは依存症から抜け出せない病気の状態であると考えています。

繰り返しますが、チーターからの復帰の第一歩は自分がチータであると認めることにあります。闇に堕ちたチーターを社会復帰させるためには、彼ら/彼女らが現実に根ざした人間社会関係の下で、何故自分はチートを使用しているのかという自身の根本の問題を直視し、生き方を変えることが必要だと思います。しかし現実問題としてPCゲームはチーターによって破壊された、あるいは破壊されつつあり、コミュニティにとってチート対策は喫緊の課題であるために、チーター個人へ攻撃が向いてしまうことも理解しなければなりません。

ですが一介のプレイヤーがチーターに対して個々にチートの使用を止める様に要求したところで既に述べてきた通りチーターは依存症(病気)の状態であるので、自らの判断で止めることができません。10年前と比べてesportsの興隆等によりゲーム人口が増えたことで軽い動機からチートに手を染めるプレイヤーも多く、その結果チート開発者の経済的利潤も増えるため、チートツールの品質、種類、入手性は今後益々増していくものと思われますが、人の弱い心に付け込んだ需要-供給関係に対してコミュニティ、ゲーム会社、議会(法律)が有効な対策を打てていないことが、根本問題であると考えています。

短い目で見れば例えばプロプレイヤーにおいては実名、住所、顔写真入りの身分証、転生に備えたVC音源等の提出を義務付けると言った対策が出るかもしれませんが、それらは短期的にプロシーンを守ることにはなっても、ゲーム自体は破壊され続けると思います。

むしろよりマクロ的な問題解決策を取るのが適切で、コミュニティが一体となって主体的にムーブメントを起こし、ゲーム会社、議会議員、行政、団体、病院、研究者等ステークホルダーに対して行動変容を促す(例えばアンチチートに対する研究費助成、チートの害についての周知活動、チート開発者の摘発・処罰についての国際的枠組み、チート使用者のケア体制の構築等)ことができれば、よい方向に変わっていくのかもしれません。


ただチーターを追い詰めても得るものはないからチートを憎めと言ったところで、たくさん努力してきたプレイヤーに月に13.99ユーロ払えば勝てるという資本主義のシステムは到底許容できるものではありません。実際一人の犯罪者に全体が悩まされること自体、資本主義体制が破綻している証左であり、我々労働者階級が労働基準法を無視したブラック企業の下でマルクス主義的な意味で搾取される一方で、休日出勤とサービス残業を強いられ疲弊した労働者の弱みに付け込んでチートという名の麻薬を売り上海のタワマンでワインくるくるしているチート開発者はブラック企業の社長同様明確なクラークです。万国の労働者が団結する社会主義革命でしかこの問題を打倒(以下略)。。。

最後少しだけ左に寄ったかもしれませんが、いずれにせよ何かを変えたければ、誰かが変えてくれるのを待つのではなく、自ら第一歩を踏み出すしかありません。チート対策を社会に求める人は一見遠回りに見えますが、今年の秋に行われる衆議院選挙時に、地元の候補者全員のSNSに、投票の参考にするためという理由でゲームにおけるチート問題をどう考えているか質問を送り、最良の回答を得た候補者に投票する考えを伝えるとよいかもしれません。国会議員は基本的に国民全員に対して仕事をする必要はなく、そのため国民は議員に対して無能の評を与えがちになりますが、実は議員は自らを議員たらしめている支持者に対してはしっかりと利益を与えています(そうでなければ支持者からの支持を失い落選する)。例えばある議員の支持者の大半が空飛ぶスパゲッティ・モンスター教の信者であったとすれば、議員本人がそれをバカバカしいと思っていたとしても、必ずその宗教を養護する行動を取ります。今の政府がコロナ問題等で若者寄りの政策を取らないのは政府が無能なのではなく単に若者が投票に行かないため支持者となり得ないから無視されているだけですので、この様な社会を変えるためには若者の投票率を上げることが必要です。(投票先はどこでもよいので)必ず選挙に行きましょう。


さて今チーターである君へ、こどもの頃は自分の失敗や社会の失敗を親や大人の責任にできたかもしれません。チートに依存する君にも、チートを使わなければならない苦しい理由があるのだと思います。しかし学校を出ればもはや自分は自分で救わなければならず、18歳になって選挙権を得たら否応なく今度は君自身がその失敗した社会の一部になるのです。君がいつの日か自分自身や特定の誰かや社会ではなく、チートそのものを憎むことができるようになれることを祈ります。