2020年4月11日土曜日

ValorantはCS:GOの敵なのか

掲題の件、LoLの開発運営元であるRiot Gamesが開発中のFPS "Valorant"について、CS:GOプレイヤー視点から意見を書きたいと思います。

既にValorantとCS:GOの類似性は多くの方面から指摘されており、またJPCS界の最強チームabsoluteの移籍(記事)というセンセーショナルな情報もあって、CS:GOプレイヤー諸氏におかれましてはこのまま勢いに飲まれてGOが下火になってしまうのではないかとの懸念を持たれている方も多いと思います。

しかし僕の考えは全く逆で、むしろCS likeなValorantの成功は、将来的にCS:GOも利する結果となる可能性が高いのではないかと考えています。
(成功するかわかりませんが成功すると仮定します。個人的にはグラフィックや試合時間を筆頭に改善余地が多い印象を受けています。)

こう考える理由は次の3点です。

  1. Valorantの成功(すると仮定)によってJP FPS界のアクティブプレイヤー数が増える。
  2. ValorantとCS:GOの類似性により、プレイヤーの還元が見込まれる。
  3. 強力なライバルの存在でサービスの質が上がる。


以下、順番に説明していこうと思います。


1.Valorantの成功によってJP FPS界のアクティブプレイヤー数が増える。


別に僕はセイの法則の信者ではありませんが、真に多くの人々の心を掴むものについては、与えられた供給分だけ需要も増えていくと考えています。

過去を振り返ってみると、2000年代初頭には数少ないプレイヤーが細々とQuakeやCS1.6、BFやCoDをプレイしていたと思われますが、SF/SA/PM/WR/CF/AVAなど無料FPSの登場は「FPSの面白さ」に触れられる機会を増やして、それまでゴールデンアイ程度の経験しかなかった中高生(大人も)を熱心なFPSユーザーに変えることに成功しています。

近年では特にOverwatch初期の盛り上がりやPUBGの爆発的流行が記憶に新しく、特にバトルアリーナ系のジャンルについてはモバイル機器の発展により今や電車内で荒野行動をプレイしている人を見ることも珍しくありません。現在のJP FPS界においては心惹かれるゲームがあれば参入してくれる潜在的なプレイヤー層がまだまだ多数存在していると思います。

FPSを離れて考えても、RTSという孤高のジャンルをカジュアル化したMOBA、そしてその代表格Dotaを更に一般向けに変えたLoLは、ゲーム人口増加に大きな貢献をしており、またゲームから離れて考えても、プロ野球は東北や北海道に球団ができたことでその地域に野球ファンを生み出していますし、サッカーはJリーグができたことでサッカー人口を増やしています。

Valorantが成功するのか、一時の流行で終わってしまうのかはわかりませんが、モバイルシーンを巻き込むほどの大きな発展をみせるか、そこまでは行かないにせよ既存のFPSユーザー層が活性化するほどの成功を収めた場合、たしかに最初はCS:GOユーザーは減りますが最終的には理由②によってCS:GOへある程度のユーザー還元が見込まれると考えています。



2.ValorantとCS:GOの類似性により、プレイヤーの還元が見込まれる。


現在のJP CSには、参入障壁が高いため新規参入者が少ないという問題点があります。

もともとCS:GO自体が新規参入の大部分を占めるカジュアル層には受けないゲームです。
5人という人数、長く、神経をすり減らす試合時間、投げ物の存在と複数のmap、シビアなタイミングとエイミングとリコイルといったゲーム内の競技性の問題(これはゲームの良さでもある。ランダム性と競技性のバランスについては別の機会に触れたいが存命中に書けるかどうか。。。)cfg、PC、語学やチーム運営の知識、そして熟練された豊富な対戦相手の存在が、参入障壁を極めて高くしています。少しの実力差が勝敗を分けるため細部の練習が不可欠で、もし世界で戦おうものならフルタイムでall-inするしかなく、そこまでCSに人生を捧げても世界にたどり着けるかは保証できません。

世界で戦う気概を持ったプレイヤーは少数である故に、本来であれば弱者を守れるようにレベル別に隔てる壁と、将来的に現在の壁を乗り越えるための梯子となるものを、ゲーム運営側は仕様によって、コミュニティ側は熱意によってそれぞれ示さなければなりません。
しかし、Valve側はmatchmaking環境の整備に乗り出す意欲が薄く(これが最大の問題)、弱者を守る気持ちは皆無の様です。代替が期待される外部プラットフォームは一長一短で、コミュニティ側は-utage-を筆頭に近年目を見張るほど努力の量を増やしているものの、悪い流れを変えるまでには至っていないというのが現状かと思います。(個人メモ・・・これについても書きたいことが沢山あるが余白が狭すぎる。)

ValorantにはValorantなりの難しさや、競技性の高さがあるとは思います。ですが発表される内容を確認した限りでは、RiotはCS:GOの長所、欠点や最近の流行を考えてゲームを設計していると思われるので、少なくとも競技性を今まで以上に高めたゲームを出そうとは思っていないはずです(CS:GOよりも競技性が高いのはRTSの1vs1ですが、ごらんの有様だよ)。
DotaをLoLにカジュアル化(=参入障壁を下げて認知度を上げて人口を増やす)した実績もあるので、CS:GOで感じられる参入障壁の高さを下げるために、競技性を下方向に調整して呼び込みを図るのはほぼ間違いないかと思います。(競技性だけが参入障壁ではないので、その他の観点からも参入障壁を下げるムーブを取ってくると思います。)

新しく開発・運営されるゲームであるからこそ固定されていない考え・仕様も多いと思われることも考えると、参入障壁は他ジャンルや新規参入者が容認できる程度まで低いのではないでしょうか。そうなると、ヒーロー制度ということでOWやApexから、RiotのゲームということでLoLからの流入した層、あるいは荒野行動ユーザーが、彼らがこれまで経験していなかった「ストッピング」「リコイル」「buy/eco」といったCSをやるための最初の参入障壁をValorantで消化してくれることになると思います。

Valorant待機勢がCS:GOで体を慣らしている現状からも、CS:GOのサービスの質が同程度であれば、高かった参入障壁が下がり、将来的にCSに流れてくる人が出てくることも十分考えられることでしょう。


3.強力なライバルの存在でサービスの質が上がる。


最後に、これまで独占市場であったCS系ジャンルに、強力と思われるライバルが登場したことで、CS:GOのサービスにも改善が見られる可能性があります。

例えばユーザー側としてはこれまでmatchmakingでチーターに倒され続けていてもCSをやり続けるしかなかったわけですが、Valorantにより進んだチート対策があれば、そちらに移動することができるわけです。大会の賞金、サーバーのtickrate、プレイヤー・コミュニティの質等、様々な環境を比較して、プレイヤーはこれまでより自由にゲームタイトルを選ぶことができます。

従ってValve側の立場からすると、これまで費用をかけずに済ませていたサービスを拡充しなければユーザー数が減少してしまい、skin商売とギャンブル漬けにさせることで得ていたお金を得られなくなります。お金が大好きなValveはユーザーが逃げない程度には改良を加えるものと思われます(新しいskinの濫発でないことを祈るばかりです。中国共産党さまガチャ禁止してくれないかなchinaNo1!!!!)。

これを機会にValveはチート対策、サーバーのupgrade、その他仕様改変を行って初心者を囲い込む壁を作り、コミュニティ側ももう少し上級者さまはつつしみの心を持っていただいて、初心者を導く方向のムーブを取っていただければと願っています。

以上、もう一度だけ前提を繰り返すとあくまでValorantが成功するというifの話なのですが、上述した通りValorantの発展はCS:GOを利する結果になるはずなので、そういう観点からも敵視するのではなく共に頑張っていくという姿勢で臨みたいと思います。

よろしくお願いいたします。

0 件のコメント:

コメントを投稿